#07

EPISODE 7 君でいられなくなるキミに

正義を信じて握り締めた拳は、感じるがままに突き出された。
ノイズに触れる瞬間にギアを纏ったか否か、それは誰の知るところではない。
確かなのは、胸のガングニールがいつも以上に熱く滾っていること。

ネフィリムの覚醒心臓を持ち帰るために手段を選ばないウェル博士は、
高みからの物言いで調と切歌に助けを要請し、滅びの歌を強要する。

必勝を期したシュルシャガナとイガリマの絶唱二段構え。
それさえも、響が咄嗟に試みたS2CAの応用で強引に封じられてしまう。
打つ手をもぎ取られた調と切歌。しかし苦痛に呻いて膝を折ったのは響の方であった。

世界の主要政府を敵にまわしてでも不都合な真実を公表し、
月の落下より可能な限り人命を救うことがF.I.S.の決起目的であったはず。
だが、覚悟の甘さと重なる不測の事態、そして混入した猛毒が理想を蝕んでいく。

ナスターシャは、組織が何も果たせぬまま限界に達していることを痛感していた。