#10

EPISODE 10 喪失までのカウントダウン

降下する「それ」は、フロンティアに施された封印解除に必要な出力確保のため、
人のフォニックゲイン――小日向未来の躯体を得た神獣鏡のシンフォギアであった。

本来の目的とは異なる、ウェル博士の大胆な神獣鏡の運用に驚きを禁じ得ないマリア。

胸の想いを歪められた少女は戦場に雄叫びをあげ、愛を剥き出しにする。
暴力を制圧し、無力化させるのは自分こそが相応しいとクリスが汚れ役を買って出る。

急ごしらえの装者では届くはずもなく、
たちまち神獣鏡のシンフォギアを圧倒するクリス。
だが、一瞬の隙をついて反撃に転じた神獣鏡のプログラムは、
集束した輝きを一気に解き放つ。
それは、聖遺物由来のエネルギーを分解する陽だまりの優しさ――凶祓いの力であった。

現実に翻弄され、正義を為すことも悪を貫くことも果たせぬまま懊悩するマリアは、
自分の拠り所でもある「フロンティア計画」を遂行せんと震える心を捻じ伏せる。

人類救済の可能性を零さないよう、か細い光を手繰り寄せ、
巧みに編み上げるマリアの絶技。
空から落ちる災厄に先んじて海より顕現する驚異に、誰もが意識を奪われるのであった。