#13
きっと救うと誓った胸に聖詠が湧きあがると、この身は既に戦装束――
再びガングニールのシンフォギアを纏った立花 響がフロンティアを駆け抜ける。
偽りの心を解きほぐされた彼女もまた、生まれたままの感情で自分に向き合う。
頬を染めて口にする星の救済は、マリア・カデンツァヴナ・イヴの迷いなき選択。
世界を繋いで共鳴する優しい歌声は天を衝き、公転軌道から外れた月に伸びていく。
セレナを亡くして以来、少女のまま止まっていたマリアの刻がついに動きはじめる。
夢に焦がれるウェル博士もまた、理想に向かって全てを蹴散らし邁進する。
装者も、統治するには手に余る人類も、左手に繋いだフロンティアにて駆逐すべく、
たっとひとりで立ち回り、ついには血の涙を流して奇跡を起こしてみせるのであった。
迫り来る世界蒸発の事態を回避するために、クリスがソロモンの杖を高く掲げる。
人を殺すだけではないと示した杖の可能性に、明日を求めてマリアも吠え叫ぶ。
英雄でないすべての命が、ひとりでは掴めない未来に向かって小さな手を広げる。