Special

スペシャル

――放映直前特別企画ということで、
森井佑介プロデューサーに他では聞けないシンフォギアGの裏側を聞かせていただければと思います。
まず、プロデューサーとはいったいどういったお仕事になるのか教えていただけますか。

シンフォギアプロジェクト全体の盛り上げ役……ですかね。
もちろん細かい実務は沢山あるのですが、
企画のスタート段階において、各セクションに誰を抜擢するかを決定する事が最重要任務で、それを決めてしまった後は、基本的にはその方たちを信じて応援するだけです。
全体のバランス感を見て細かい軌道修正をする事はありますが、
自分が信じたスタッフさん達に楽しく気持ちよく仕事をしてもらうために、
全力でサポートする事が一番の役目だと思っています。
プロデューサーという肩書は自分には大仰過ぎて、あまり気に入っていません。
制作チームの中でも最年少ですし、勉強させていただく事の方が多いですから。

他には公式ツイッターの更新なども担当していますが、
本業は小日向未来の応援団長です!

――本業?
なるほど、プロジェクトの要、まとめ役といえるのですね。
では、シンフォギアシリーズにはいつ頃から参加しているのでしょうか。
きっかけを教えてください。

原作のElements Garden代表上松範康さんから、僕の上司である三嶋プロデューサーに企画の提案があり、
それをキングレコードが中心となってアニメ化しようと決まった後で、
「お前がプロデューサーやってみるか?」と上司から持ち掛けられました。

――最初はどのような印象をもたれましたか?

上松さんとは音楽のお仕事で何度も御一緒させていただいていたので、
初めは「音楽家がアニメの原作?!」と、信じられない気持ちでした。
ただその段階で既に金子さん作のプロットが13話分できあがっていて、
そこに込められた熱量に一発でやられました。
「なんとしてもこの作品に関わりたい!」と思いましたね。
それまでは声優アーティストさんの音楽プロジェクトで仕事をしていたので、
アニメ作品のプロデュースはこの作品が初めて。
ここから試行錯誤の日々が始まります…

そしてこれが、小日向未来への恋路のスタート地点でもありました。

――ん? 恋路?
つまり、企画の成り立ちもまた他のアニメ作品とは一線を画するのがシンフォギアだったのですね。
そんなシンフォギアですが、第二期となる「シンフォギアG」を控えた今、
あらためて振り返ってみて、どのような感想をお持ちでしょうか。

キャストファンや原作者ファンは放送前から楽しみにして下さっていたかもしれませんが、 完全なオリジナルアニメでしたので、過度に期待される作品ではなかったと思います。
とは言え、前プロモーション段階では水樹奈々さん・高山みなみさんのダブルヒロイン作品と謳っていたので、
1話での盛大なひっくり返しとスピーディーなストーリー展開に、当初は目が点になった方も多かったのでは…と分析します。

――いろんな意味で1話放送後の反響がとても大きかったと聞いています。

正直、ここまで視聴者の事を考慮していないアニメって珍しいと思います(笑)
もちろん、視聴者に楽しんでもらうために作ってはいるのですが、
人気を得るためにあざとい手法を使っていないというか…
「ついてこれる奴だけついて来い!」
という潔すぎる姿勢が、逆にシンフォギアの魅力になったのだと思います。
シンフォギアは美少女達が活躍するアニメでありながら、
「萌え」ではなく「燃え」が売りなので。

――ですが、視聴者の皆さんもついて来てくれたようですね。

劇中ではシンフォギアを纏う戦士達の事をシンフォギア適合者と呼んでいますが、 いつしか今作のファンの方々の事もシンフォギアに適合した人々として
“適合者”と呼ぶようになりました。
この「燃え」の要素を気に入って下さっている適合者さんも多いのではないでしょうか。

原作のお二人がアニメ初挑戦、伊藤監督はTVアニメシリーズの監督初挑戦、
僕もアニメのプロデュース初挑戦だったので、首脳陣全員がチャレンジの気持ちでシンフォギアに取り組んでいました。
経験豊富なキャストさん達も、アフレコスタジオで歌いながら演技をするのはさすがに初めてでしたし、
現場で試行錯誤しながら皆で作品を作っている感じが、そのままライブ感として映像や音楽に反映されているのだと思います。
シンフォギア独特の“勢い”や“熱さ”みたいなものは、
「言ってる事全然分かりません、でも、やってみます!」
という、スタッフ・キャスト全員のチャレンジ精神が根源だと思います。

僕が未来を応援する気持ちの根源は“愛”です。
強すぎる、愛です。

――愛? 素敵な言葉ですが、なかなか外では口に出しづらい言葉ですね。

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